れきしケンチクの建て方を知ろう!

金沢のれきしケンチク〔金澤町家(かなざわまちや)など〕は、丸太や製材した木材を組み合わせる「伝統構法(でんとうこうほう)」で作られているよ。今の建物〔在来軸組構法(ざいらいじくぐみこうほう)〕は組み立てるときに金物(クギ、ネジ、ボルト、プレートなど)を使うけど、伝統構法は金物をほとんど使っていないことが特ちょうだよ。

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れきしケンチクを探検しよう!コラム金澤町家とは?

伝統構法と在来軸組構法

れきしケンチクは「伝統構法」という昔の方法で建てられています。伝統構法は、柱や梁(はり)などの木組み、かべの貫(ぬき)、土かべなど、建物全体が風や地しんの力に対してねばり強くもちこたえるつくりになっています。
現代の新しく建てられる「在来軸組構法」の建物は、筋(すじ)かいや金物等で建物を強く固く作って、風や地しんの力にたえるつくりになっています。

伝統構法と在来軸組構法の比較表

伝統構法 現代の構法(在来軸組構法)
建築年代と建物構造
昭和25年以前に建てられた
金澤町家などの建築物
建築年代と建物構造
昭和25年以降に建てられた新しい法りつ
〔建築基準法(けんちくきじゅんほう)〕による建築物
建築年代と建物構造
地しん・台風等外力への対応 建物全体がゆれなどに対し、
動きながらもちこたえる 地しん・台風等外力への対応
建物を強く、固く作ることで、ゆれなどに
対して変形せずにもちこたえる 地しん・台風等外力への対応
足元〔基礎〕 足固め、石場建てなど、
基礎に固定しない場合がある
コンクリート基礎と土台を固定
構成 貫・差物(さしもの)による水平垂直の貫構造 筋(すじ)かい・火打などの斜材(しゃざい)
接合部 継手仕口(つぎてしぐち)による接合
※木材をけずってとっきを作ったり、
あなをあけたりして部材を組み合わせる技法(ぎほう)
クギやビス、プレートなどの金物による接合
かべ 小舞下地(こまいしたじ)の土塗りかべ・板かべ ボード・パネルなど
  • 【柱】建物の重さを支えるための立っている材
  • 【梁】建物の重さを支えるための横向きの材
  • 【貫】柱同士をつなぎ、木組みを固めるための横方向の木
  • 【土かべ】ヨシや竹を編んだ上にねん土をぬり重ねて、かわかすことで固めて仕上げるかべ
  • 【板張り】板を張って仕上げた外側のかべ〔横張りとたて張りがある〕
  • 【礎石】柱を支えるために地面に置かれる石

クギを使わない工夫

  • 伝統構法では、木材をけずってとっきを作ったり、あなをあけたりして部材を組み合わせる技法(ぎほう)を使って、木と木を組み合わせています。この技法を「継手仕口(つぎてしぐち)」とよんでいます。木材と木材をぴったりと組み合わせる伝統技術(でんとうぎじゅつ)で、大工さんのうでの見せ所です。

    クギを使わない工夫

土かべって何?

  • 土にわらやすなをまぜて水で練ったものを、何そうにもぬり固める土かべは、日本に昔から伝わるかべのつくり方です。竹やススキを編んだ小舞(こまい)とよぶ下地の上に土をぬってはかわかすことをくり返して、きれいでがんじょうな土かべに仕上げます。左官(さかん)職人さんの高い技術が必要です。

    土壁

    □ 土かべの構成

町家(まちや)ってどんな間取り?

  • 町家とは

    • 「町家」とは、江戸時代(えどじだい)に城下町などの町に住んでいた人が生活していた建物のことで、仕事場と住まいの両方に使っていました。江戸時代から明治、大正、昭和と建てられ続けました。
    • 建物の正面は道路に面し、側面はおとなりと接して建っていることが多いです。
    • 金沢以外にも、「町家」の建物が残っている場所は全国各地にあります。
    町家
  • 町家の間取りの特ちょう

    • 町家の正面〔げん関〕からおくまで、「トオリニワ」とよばれる土で固めた通路が通っていて、トオリニワに面して部屋がならんでいます。そのおくには台所、便所、ふろなどがあり、一番おくには道具をしまっておく倉庫〔土蔵(どぞう)〕があります。
    • 道路に面した一番前の部屋は仕事場として使い、道路から一番遠いおくの部屋は接客やお祝い事、大切な行事などに使います。
    町家の間取りの特ちょう
  • 部屋のよび方と使われ方

    • トオリニワ:表の道路からはきものをはいたままで建物内に入り、水回りを通りぬけて、一番おくの土蔵まで行くことのできる通路です。
    • ミセノマ:建物の一番表側、道路に面する部屋で、商品を売ったり、物を作ったりする仕事場として使われる部屋です。
    • チャノマ:家族が食事をする部屋で、居間〔リビングルーム〕です。イロリがあり、けむり出しと明かり取りのために屋根まで天井がないふきぬけになっています。チャノマのふきぬけも金沢の町家の特ちょうです。
    • ザシキ:表から見て一番おく、げん関から対角線の位置にあり、庭に面する部屋。床柱(とこばしら)や床の間(とこのま)などの座敷(ざしき)かざりがつけられ、その家で一番格式が高く、接客やお祝い事、大切な行事などに使われます。庭に面してザシキの外側にある土をしいた細長い部分を土縁(どえん)として設けるのが金沢の町家の特ちょうです。
    町家の間取りの特ちょう

    □ 座敷かざりの例

使いやすくなおす

  • 町家は建てられてから長い時間が経っているので、かべやゆかにすき間ができていたり、建物全体が弱くなっていることがあります。また、おふろや台所、トイレなどの昔に使われていたものが、そのまま使われていたりします。そういったふだんの生活で使うものを、今の生活にあったものに新しくしたり、ゆか下に熱をにがさないものを入れたり、ゆかだんぼうをつけるなど寒さやすき間風にも耐(た)えられる工夫をすると、今の生活にあった住みやすい建物にでき、ふたたび長い年月住み続けることができます。

    システムキッチンを整備(せいび)した町家の例

    □ システムキッチンを整備(せいび)した町家の例

お店や飲食店、宿泊施設(しゅくはくしせつ)として利用する

町家などのれきしケンチクには住むことだけではない“みりょく”があります。金沢を訪(おとず)れる観光客のみなさんの多くは、江戸時代から引きつがれた城下町のまちなみを楽しみにしています。観光客の多い東山ひがしや主計町(かずえまち)にある町家では、家の中を作り直して、おみやげ物を売る店や食事をする店、また宿泊できる施設として、お客さんをおむかえしています。

さらに、町家の歴史(れきし)が感じられる見た目や、室内の木でできた空間は、金沢の人々にも親しまれており、いろいろな場所でお店などに利用されています。これもれきしケンチクを未来へ引きついでいく方法のひとつです。

コラム:フシギいっぱいの町家を見に行ってみよう!

金澤町家情報館(かなざわまちやじょうほうかん)では、金沢のれきしケンチクの中に入って見学できます。ひきだしがいっぱいの階だん〔箱階だん〕、大きく見上げる天井〔ふきぬけ〕、タテとヨコに木を組み合せたかべ〔面格子(めんごうし)〕…それぞれにどんな意味があるのかをたしかめに行きましょう!
ここでは、町家を使いたい人にしょうかいしたり、町家のステキなみりょくを発信しています。

町家
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  • 屋根の雨水を集めるためのこの金具、ある生き物に似ていることからついた名前は?

    • ①たこ
    • ②かも
    • ③あんこう
    • ④ふらみんご
    屋根の雨水を集めるためのこの金具

    A: ③あんこう

    あんこうをつり下げたすがたに似ていることからつけられたよ。職人のスゴイ技術を活かしたカッコイイものもあるので、注目してみよう。

    あんこう